どんなに相性がよくても、どんなに居心地がよくても、タイミングって大事だ。私はそのタイミングを間違えた。何の話かって?もちろん結婚の話だ。
前に付き合っていた彼とは、付き合ってすぐに同棲を始めてしまった。大好きな彼と毎日一緒にいられる、その喜びを感じることができたのは最初だけで、その喜びは普段の生活の何気ない不満に置き換えられていく。彼が家事を一切しないこと、食事を作っても無言で食べて無言で箸を置くこと、脱いだものをそのままにしておくこと、そしていつの間にか仕事をやめ、家で一日中ゴロゴロするようになったこと…。こうなったのは誰のせい?もちろん彼の怠惰が一番の原因だけど、私が甘やかしたのも悪かったのかもしれないと今では思う。もし彼と同棲なんかせず、適度な距離でお互いに緊張感を保ち続けられていたら、彼はあんな風にはなっていなかったと思う。結局窃盗の罪で刑務所に入ることになった彼を見捨てる形で私たちは別れることになった。何を、何から後悔すればいいのかすらわからないのだ。
そして今、私には新しい彼がいる。元彼と暮らしていたアパートはすでに引き払い、別のアパートに引っ越していたのだが、つきあって半年経った今でも私は彼に合いカギを渡していない。彼は信用できる人だ。きっと彼に鍵を渡したからといって、前みたいなことにはならないはずだ。そうは思っても、元カレと出会ったときだって、まさかあんなふうに自堕落な生活を送るようになるとは思ってもいなかったのだ。私が今の彼をあんなふうにしてしまうかもしれない。私が彼に合いカギを渡さない理由、それは彼が信用ならない人だからではなく、私が私を信用できないからなのかもしれない。