僕には小学校時代からずっと仲の良い友人が一人います。彼とは、小学生時代から「サッカー」が共通の趣味ということで色々と話す機会も多かったことがあり、日韓共同開催だったワールドカップの時などは特に一緒に行動する機会があったことを覚えています。
丁度その頃は、僕たちは中学3年生で受験を間近に控えており、ワールドカップの試合を見に行く途中の移動時間などに、「お前将来どうする?」などとお互いの夢を話したのを覚えています。
その時、僕の友人は「とりあえずアメリカ行って、英語を使う仕事をしたいな」と言っていましたが、結果から言えば、彼のこの希望は叶うこととなりました。
大学卒業後、この友だちは商社に就職し、やがて海外勤務の辞令を受けて渡米。見事、中学のころに話した夢を叶えたのです。
このように僕の友人はとても優秀な男なのですが、実は少し抜けたところもあり、これらがうまい具合に絶妙なバランスで彼の魅力となっています。
先日もアメリカにいるはずのこの友人から急に国際電話があり、「なぁ、閉まらなくなった鍵を無理やり閉める方法はあるのか?」と何の脈絡も無く僕に聞いてくるのです。どうもアメリカで借りているアパートメントのドアの鍵が効かなくなったようなのですが、普通に考えれば地元の担当不動産屋に連絡すればいいと思うようなことを、わざわざ高い国際電話料金を支払ってまで僕に尋ねるのは正直不思議でなりません。
電話中、このことを指摘すると「あぁ、ついでに久しぶりにお前と話したかったのもあるから」と、さらっとこちらが喜ぶセリフを混ぜてきたりする男ですが、僕は内心で「こいつのこういう部分には、きっと一生かなわないだろうな」と思っているのです。